主な教授理論

コメニウスの事物教授法

初めに具体的な事物を感覚・観察してから、十分に思考し、のちに言葉で表現するという段階を踏むことで、物事の認識の形成を目指した。「あらゆる知識は、感覚を通過する」『大教授学

ペスタロッチの直観教授法

直観から概念へ、具体から抽象へという認識の筋道に応じた教授のあり方をめざした。また、教育は、生来、子供に備わっている能力を中から発展させることであると説いた。「生活が陶冶する」

ヘルバルトの四段階教授法

教授の過程は、明瞭→連合→系統→方法の四段階から成ると説いた。『一般教授学

主な学習理論

デューイの問題解決学習

学習者自身が、さまざまな生活経験の中から問題を発見し、解決する過程で、科学的知識を習得する学習方法。学習過程は、暗示→知性化→仮説設定→推理→懸賞の5段階をたどる。

キルパトリックのプロジェクト・メソッド

デューイの考え方に基づき、子供の自主的・自発的な計画と活動によって展開する学習方法。学習過程は、目的→計画→実行→評価の4段階に分けられる。

スキナーのプログラム学習

教材内容を細分化およびプログラム化し、ティーチング・マシンやプログラム・ブックを使って、個別に学習する方法。

ブルーナーの発見学習

科学的な概論や法則、規則性を学習者自身が発見していく学習法。『教育の過程

 

学習指導の原理

自発性の原理…学習者が興味や関心を抱き、自発的な活動や体験を通じて学習する。

直観の原理…学習者が、見る・聞く・感じることで物事に判断を下すことで、直観から概念へ、具体から抽象へと認識を深めていく。

系統性の原理…教育の方法や教材が、学問や文化の系統に則っていると同時に、学習者の発達過程にも合致している。

反復練習の原理…学習の成果を、応用可能な程度まで定着させる。

個性化の原理…学習の個性を引き出せるように指導を工夫する。

社会化の原理…学びを通して、学習者を社会的存在へと成長させる。

学習形態

一斉学習…すべての学習者が、同一の教材・方法で学ぶ。例:モニトリアル・システム

グループ(小集団)学習…グループに分かれ、その集団ごとに学ぶ。例:バズ学習(6・6式討議)

個別学習…適性や能力などの個人差に応じて学ぶ

指導法

講義法…教師一人が話をする、最も一般的な教授法。短時間に大量の知識を体系的に伝達できる一方で、学習者が受け身になりやすい。説明法、講話法など。

討議法…ある課題について、学習者同士が自由に意見を交換することで、問題を解決するとともに民主的な社会生活のあり方を習得する。グループ討議、バズ学習など。

観察・実験法…直接経験や生活体験を通して、知識や技能を身につける。

劇化法…学習者が、劇的表現活動を通じ、学習内容の理解を深める。ごっこ学習など。

プロジェクト法…プロジェクトとは生活の中で計画・実行する目的活動を指し、児童などの自発的活動により現実的な問題の処理能力の向上をめざす。講安法。キルパトリックが考案。

学習過程

系統学習…知識や技能の論理的・系統的な習得に重きを置く学習。

経験(単元)学習…児童らの経験に重きを置く学習。デューイが提唱。

問題解決学習…児童らの問題解決の活動に重きを置く学習。

発見学習…知識などの生成過程を児童自らが体験し、そこから発見を得るプロセスに重きを置く学習。

 学習指導要領の変遷

1947(昭和22)年

アメリカのコースオブスタディを参考に作成された初の学習指導要領。

教師のための手引とされ、試案と表示されていた。

修身、歴史、地理などを廃し、「社会科」「家庭科」「自由研究」などを新設。

1951(昭和26)年

基本的な位置づけは試案のまま。自由研究を廃し、「教科外活動」などを置く。

1958(昭和33)年

告示形式となり、教育課程の国家基準として法的拘束力が明確化。

科学技術教育や強化の系統性を重視。

道徳」を設置。教科課程が「教科」「道徳」「特別教育活動」「学校行事」の4領域に。

高校は1960(昭和35)年告示。

1968(昭和43)年

教育内容の現代化を掲げる。クラブ活動新設。

教育課程が「特別活動」「教科」「道徳」の3領域になる。

神話が再登場。愛国心教育を強調。

中学校は1969(昭和44)年、高校は1970(昭和45)年告示。

1977(昭和52)年

ゆとり・精選をめざし、授業時数を削減。

中学で選択教科、高校で習得度別学級編成

社会奉仕、勤労体験学習などを提案。

高校は1978(昭和53)年告示。

1989(平成元)年

小学校低学年で「生活科」、中学で「情報基礎」、高校で「地歴科」「公民科」新設。

入学式などでの国旗・国歌の取り扱いを義務付け。

1998(平成10)年

完全週5日制導入。小・中で授業時数を週2単位時間、教育内容を3割程度削減。

各学校がゆとりの中で特色ある教育を展開することを強調。

生きる力の育成を重視。「総合的な学習の時間」を新設。

高校は1999(平成11)年告示。

2008(平成20)年

生きる力の理念の共有。

基礎的・基本的な知識・技能の習得と、思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視。

確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保

豊かなや健やかなの育成のための指導の充実。

高校は2009(平成21)年告示。

 道徳教育

道徳教育の4つの内容

主としてー自分自身他の人とのかかわり/自然や崇高なものとのかかわり/集団や社会―とのかかわりに関すること。

道徳教育の指導計画の作成と内容の取扱い

校長の方針の下に、…担当する教師(道徳教育推進教師)を中心に…道徳教育の全体計画年間指導計画を作成する。

…児童の発達の段階や…指導内容の重点化を図る。

道徳教育の指導における配慮事項

1道徳教育推進教師中心の指導体制の充実

2集団宿泊活動(中学校は職場体験活動)やボランティア活動などの体験活動を生かした創意工夫ある指導の実践

3伝記、伝統と文化などを題材とする、児童が感動する魅力的な教材の開発および活用

4異なる意見の中で、自らの考えを表現する機会の充実

情報モラルの習得

道徳教育の評価

…道徳の時間に関して数値などによる評価は行わない。

 不登校

不登校の定義

不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童・生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にあることをいう」、年間欠席が30日以上

不登校となる要因

学校生活、本人の問題、友人関係、家庭生活の順

不登校問題に対応する上での基本的視点

1どの児童・生徒にも起こり得るものである。

2いじめや学業不振、教職員に対する不信感など、学校生活上の問題が起因する場合がある。

3学校、家庭、関係機関、本人の努力などによって、問題の大部分を改善・解決できる。

4児童・生徒の自立を促し、学校生活への適応を図るために多様な方法を検討する。

5児童・生徒の好ましい変化を自立のプロセスとして受け止め、積極的に評価する。

公的機関NPOの活用を積極的に推進している。

不登校問題への対応

スクール・カウンセラー適応指導教室の設置が推進されるほか、フリースクールでの指導、電子メールやファックスによるによる遠隔授業などでも出席扱いとして認められる。

 いじめ

いじめの定義

「いじめ」とは「当該児童・生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

いじめ問題に対する基本的認識

1「弱いものをいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識を持つこと。

2いじめられている子供の立場に立った親身な指導を行うこと。

3いじめは家庭教育の在り方に大きなかかわりを有していること。

4いじめの問題は、教師の児童・生徒観指導のあり方が問われる問題であること。

5家庭・学校・地域社会など、すべての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であること。

いじめについての取り組み

●いじめを行った児童・生徒への対応

 いじめが許されないものであることに気づかせ、他人の痛みを理解できるようにする指導を行う。いじめの状況が一定限度を超える場合は、出席停止の措置や、警察など適切な関係機関の協力を求め、厳しい対応策をとる場合もある。

○いじめられた児童・生徒への対応

 児童・生徒の心身の安定のため、スクールカウンセラーや養護教諭などとの連携を積極的に図る。学級内のグループ替えや座席替え、さらに学級替えを行うことも必要である。また、「転校」を認める措置を講じる場合もある。

いじめに関する統計

文部科学省の調査では2007年は101000で減少傾向にあるもののいまだに相当数ある。

特別支援教育 

特別支援学校の目的

20066月の学校教育法一部改正により、特別支援学校に統合された。学校教育法72では、特別支援学校の目的を規定している。

特別支援学校の組織・運営

学校教育法76条では特別支援学校の小学部、中学部、幼稚部、高等部の設置について述べられている。80条では都道府県に対して、75条で規定されている児童・生徒を就学させる特別支援学校の設置を義務付けている。

障害の程度/就学猶予・免除

障害の程度は学校教育法75で定められており、学校教育法施行令223項において詳細が説明されている。

学校教育法18条では就学困難と認められる保護者に対して、就学義務を猶予または免除することができるとしている。

特別支援学校の教育課程及び「自立活動」の指導内容

自立活動は学習指導要領において述べられており、健康の保持、心理的な安定、環境の把握、身体の動き、コミュニケーションの5つで構成されている。

特別支援学校の小学部・中学部・高等部では2つ以上の科目を合わせて授業を行うことができ、合わせて行うことを合科授業といい、2つ以上の領域を合わせて行う授業を統合授業という。

特別支援学級

特別支援学級は学校教育法81条で定められている。812項で知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、そのほか障害のあるもので特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」のいずれかに該当がすれば、設置できると規定している。

通級による指導

通級による指導は通常の指導とは別に、障害の状態に応じて指導を行うことである。通級は学校教育施行規則140条で対象を規定している。

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